「海外に行くから」「動画を見たいから」「セキュリティが気になるから」VPNの利用を考えているけれど、そもそもVPNって何?という人も多いのではないでしょうか。
VPNを利用すると、インターネット上の第三者から自分の通信を盗み見られたり、改ざんされたりするのを防ぐことができます。リモートワークやテレワークの普及につれてVPNの利用が個人レベルでも増えてきました。
個人ユースだと、セキュリティ強化の他にも、海外旅行・出張の際にVPNを利用することで海外規制のある日本のWebサービスを利用できるようになったりするので、海外にいる方にとっても非常に便利です。
■海外規制のある例)欧州エリアからYahooサイトにアクセスした場合に表示される案内
今回は、VPNの概要、メリット・デメリット、利用シーンについて詳しく解説します。
VPN(仮想プライベートネットワーク)とは
VPN接続の仕組みと利用メリット
VPNはVirtual Private Networkの略で、仮想プライベートネットワークとも言います。
オープンなインターネット上での通信を、あたかもプライベートなネットワークで通信しているかのように振る舞うことができる技術です。
VPNを利用することで、以下のようなことが実現可能です。
- 通信を暗号化することで、盗聴や傍受を防ぐことができる
- PCやスマホなどの端末の位置(アクセス元)を偽装することができる
- インターネットの制限を回避することができる
- 海外Webサイトに接続する際に速くなる
ブラウザでのWebサイトへのアクセスだけでなく、メール接続やスマホアプリ利用、FTP接続など、インターネットでのアクセス全般については、端末ーVPNサーバー間でVPNで保護されるので安心です。
企業の拠点の外の、家やコワーキングスペース・カフェなどからでもセキュリティを確保して通信ができるため、リモートワークやテレワークを安全に行うことができるので、コロナ禍以降特に注目を集めています。
また、セキュリティ面以外でも、海外旅行や出張の際にVPNを利用することで、日本ではアクセス制限されているWebサービスを利用できるようになります。詳しくは「セキュリティ以外の目的での便利なVPNの使い方」をご参照ください。
VPNを利用していない時のセキュリティリスク
VPNを利用していない時のリスクには下記のようなものがあります。
- インターネット利用時の通信データが盗聴・悪用されるリスク
- 個人情報を不正取得・悪用されるリスク
- 不正アクセスされるリスク
- マルウェアに感染するリスク
- (国によっては)政府や企業による監視を受けるリスク
特に公衆wifi利用時には、VPNを利用していない状態では通信内容の盗聴や流出などのリスクが上がるので注意が必要です。
公衆wifi以外にもホテルなどのwifi環境もセキュリティは強くない(デフォルト設定も多い)ものも多いので、仕事目的や個人情報や機密情報を扱う用途やサーバーにリモートでアクセスする、といったであればVPNがあった方が安心です。
また、中国などの一部の国では、インターネットアクセス制限や検閲を国策レベルで行なっており、YouTubeやFacebookなどの主なSNSも閲覧できないように規制や検閲がかかっています。
暗号化していない通信の場合、どこからどこにどのような情報を発信しているのか、政府や企業による監視を受けて把握されている点にも留意しておきましょう。
SSLとVPNの主な違い
最近のWebサイトはhttps(SSL化)通信のため、VPNを使わなくてもデータが盗聴される恐れはないのではないかと思う人もいるのではないでしょうか。
SSLも広い意味でVPNと同じ暗号化通信ですので、httpsでアクセスしているWebサイトと端末(PC/スマホ)間でデータが盗聴・改ざんされる恐れはありません※。
※HTTPS通信では送信元(PCやスマホ)のIPアドレス/ポート番号や、宛先(Webサーバー)のIPアドレス・ポート番号などの一部の情報は暗号化されていません。
しかし、あくまで、端末ーSSL化されたWebサイトで通信している間だけの通信保護であるため、インターネット利用の中での一部分(一時的)なものです。
SSL化されていないサイトもまだまだたくさんありますし、長時間インターネットをしているとSSL化されていないWebサイトを利用することもあるでしょう。
また、Webサイト閲覧だけでなく、インターネット通信ではメール接続やFTP利用、スマホアプリ利用など様々な使われ方があります。そういった際に公衆wifiなどを利用していると知らないうちに盗聴されているかもしれません。
リモートワークやテレワークなど仕事や個人情報を扱う目的でインターネットを利用するのであれば、VPNを利用した方が結局のところ安全です。
VPN利用の主なデメリット・制限事項
VPNにもデメリットがあります。主なデメリットとしては下記の通りです。
- VPNサービスの利用料金が月額数百円〜1,000円程度かかる
- インターネット通信速度が若干遅くなる傾向がある
- VPN利用時にアプリやサイトによっては不具合が起きることがある
VPNサービスを利用するには基本的に月額数百円〜1,000円程度の費用がかかります。
インターネット上には無料のVPNサービスもありますが、速度の遅さや機能制限を始め、VPNサーバー側でデータがどう扱われているのか不透明で微妙です。セキュリティ確保のためのVPN利用なのにセキュリティ的に不安のある無料VPNは基本的に非推奨です。
また、VPNを利用するとVPNサーバーへのアクセスや暗号化のプロセス上、通信速度が遅くなる傾向があります。
さらに、VPNを利用している場合、サービスによっては利用制限がかかる場合もあります。
またボット対策系の仕組みが導入されているアプリ場合、通常と異なる通信と検知されてVPNでアクセスすると手間がかかる場合があります。
たとえば、Goole検索や何かのアプリへのログイン時に、下記のようにGoogleのリキャプチャ(私はロボットではありません)も頻繁に表示されたりして、若干面倒に感じることもあるかもしれません。
セキュリティ以外の目的での便利なVPNの使い方
VPNの主な目的は「公衆WiFi利用時などで盗聴・情報漏洩が不安で安全に通信したい時」ですが、それ以外にも、Webサービス・動画視聴目的でVPNがよく利用されます。
VPNの特徴である「PCやスマホなどの端末の位置(アクセス元)を偽装することができる」「インターネットの制限を回避することができる」などを利用して、「海外にいても日本からのアクセスのように」Webサービスを利用することができます。
海外からのアクセスで制限がかかっているコンテンツを日本経由で利用する
海外旅行・海外滞在中に日本のコンテンツにアクセスしたい時にもVPNがよく利用されます。
海外から日本のコンテンツにアクセスする場合、セキュリティやポリシー上の理由で閲覧・使用制限がかかっているサービスも多いです。
たとえば、海外出張や旅行中に日本で契約したAbemaTVやDaznを海外wifiを利用して見ようとしても下記のようなエラーが起きます。日本以外のエリアからアクセスするとエラーが起きて閲覧できません。
■AbemaTV 海外からのアクセスエラー
■Daznのエラー
また、昨今話題になったのが欧州からのYahoo利用不可です。欧州で個人情報を保護する法律「一般データ保護規則(GDPR)」が制定・規則が厳しくなり、Yahoo側でのこの対応するのが困難になったことが原因と言われています。
■欧州エリアからYahooにアクセスした場合
2022年4月6日 (水) よりYahoo! JAPANは欧州経済領域(EEA)およびイギリスからご利用いただけなくなりました
2022年2月1日よりご案内の通り、Yahoo! JAPANは欧州経済領域(EEA)およびイギリスのお客様に継続的なサービス利用環境を提供することが困難であるとの判断から、以下の「2022年4月6日 (水)以降もご利用可能なサービス」に記載のサービスを除き、2022年4月6日 (水) 以降EEAおよびイギリスからはサービスをご利用いただけなくなりました。
このほかにも、海外のwifiや回線経由で日本のWebアプリなどにログインしようとすると、海外アクセス制限セキュリティなどでブロックされることが多々あります。
■海外からのWordPress管理画面アクセス制限(エックスサーバーの場合)
こういった際に海外にいるときでも、VPNを利用して日本のサーバーを経由してアクセスすると無事アクセスできる場合が多いです。
日本からのアクセスで制限がかかっているコンテンツに海外経由で利用する
日本からのアクセスで制限がかかっているコンテンツに海外経由で利用したい時にもよくVPNが利用されます。
例えばNetflixなどで日本からでは閲覧できない動画でも、VPNを経由して海外拠点のサーバーからアクセスすることで視聴制限のかかっている動画を閲覧できることがよくあります。
ただし、このやり方は試聴が正規に保証されているやり方ではなく、動画プラットフォーム上からVPN経由でのアクセスでエラーを起こすように対策されている場合もあります。
時期によっても視聴できるかどうかはわからない点があるので注意しましょう。
海外で先行公開・限定公開されているゲームをVPNでプレイ
海外で先行公開・限定公開されているゲームをVPNでプレイすることも可能です。
VPNを利用すると世界中のゲームをプレイすることも可能です。
オンラインゲームではよく海外で先行公開・限定公開されているダンジョン・イベントや、日本ではまだプレイできない新作のゲームが海外で先行されていることがあります。
通常は地域制限がかかっており(ジオロック)、日本からはプレイできないようになっていますが、VPNで海外サーバーを選択することで海外からのアクセス扱いになり、地域制限を回避することが可能です。
ただし、このやり方も100%保証されているやり方ではなく、ゲームによってはVPN対策がとられている可能性もあるので注意しましょう。
中国などのインターネット規制がされた国でも利用できる
中国ではグレートファイヤーウォールといったインターネットアクセス制限が国策レベルでされているため、YouTubeやFacebookなどの主なSNSも閲覧できないように規制や検閲がかかっています。
VPNを利用すると、中国でもこういった規制を回避して自由にインターネットにアクセスできるように利用可になります。
ただし、こういった国レベルでの規制が敷かれている場合は、VPNといえども正常にアクセスできる保証はないことに注意です。アクセスできなかった・不安定との声もあります。共産党の記念日など時期によって特に規制が厳しくなったりもするようです。
中国のインターネット環境についてはSurfShark社のコラム「中国でVPNは違法?グレートファイアウォール(金盾)を回避する方法」で非常にわかりやすく解説されています。
なお、中国を含む一部の国では政府が認めたインターネット回線以外の利用は法律的に禁止されています(VPNも対象)。
個人レベルでの使用であればリスクは低いものの、VPNの使用自体にリスクがあるため注意しましょう。
中国のインターネット検閲システムをVPN(仮想プライベートネットワーク)で違法に「壁越え」をしたなどとして、河北省承徳市の公安当局が、同市在住のプログラマーの男性に対し約3年間の所得105万元(約2100万円)の没収を命じる処分を言い渡し、中国内で物議を醸している。
中国のプログラマー、違法「壁越え」で処罰 重すぎる没収額に物議より引用
海外Webサイトに接続する際に速くなる
VPNを利用することで海外のホームページやブログにアクセスする際に表示速度が速くなります。
たとえば、アメリカにあるWebサイトにアクセスする際、VPNなしでインターネットアクセスするとかなり遅く感じることが多いです。
ここでアメリカのVPNサーバーを経由してインターネットアクセスするとほぼ現地からのアクセスと同様に表示速度が速くなり、非常に便利です。
海外のSEO(検索結果)を確かめたい場合
海外のSEO(検索結果)を確かめたい場合にVPNを利用するととても便利です。
海外向けに英語サイトを使った場合、日本で検索するよりも実際にアメリカやイギリス、シンガポールなど、現地のエリアのサーバーを利用して検索した方がより正確な結果がわかります。
以下は、「hosting server」というキーワードで接続エリア日本およびアメリカのそれぞれで検索した例です。
同じ「hosting server」というキーワードで検索しても日本で検索すると日本語の日本サイトが含まれています。一方、アメリカから検索すると日本サイトは一切なく実際の海外現地での検索結果が表示されていることがわかります。
(関連)海外サーバーのメリットとおすすめ海外有名レンタルサーバー
VPNを利用するには
個人利用でPCやスマホでVPNを利用する場合、NordVPNなどのVPNサービスに申し込み、VPNクライアントと呼ばれるソフトウェア/アプリをダウンロードして利用します。
PCやスマホでVPNクライアントをインストールすると、VPNに接続することができます。基本的にどのサービスでも簡単な操作でできるので初心者でも始めやすいレベルです。
■有名なVPNサービス
NordVPN | Surfshark | MillenVPN | |
---|---|---|---|
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
サーバーリージョン | 60カ国 | 100か国 | 50カ国 |
サーバー台数 | 5800台以上 | 3200台以上 | 1300台以上 |
月額料金(2年契約) | 605円 | 378円 | 396円 |
月額料金(1年契約) | 781円 | 631円 | 594円 |
月額料金(1ヶ月契約) | 2,068円 | 2,048円 | 1,738円 |
同時接続台数 | 6台 | 無制限 | 10台 |
サポート時間 | 24時間365日 | 24時間365日 | 平日10:00〜18:00 |
サポート手段 | メール(日本語対応可)、ライブチャット(英語) | メール(英語)、ライブチャット(英語英語) | メール(日本語) |
ポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー |
返金保証・お試し | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) |
企業情報 | Tefincom & Co., S.A(パナマ) | Surfshark B.V.(オランダ) | アズポケット株式会社(日本) |
(※)2023年8月11日時点の税込み価格。(※)次回更新以降は通常価格。為替レートやキャンペーンなどにより価格は上下します。
具体的なおすすめのVPN製品の比較や特徴については「【おすすめVPN3選】海外&国内VPNサービス徹底比較」をご参照ください。
ここでは、例としてMillenVPN (ミレンVPN)を使ったVPNの始め方・使い方をご紹介します。
まず、MillenVPNにアクセスします。
MillenVPNお申し込みはこちらを選択します。
MillenVPN契約期間とユーザー名を入力します。
確認して次へ進みます。
支払い情報を入力して完了をクリック
支払いが完了。マイページに移動します。
まずはPC版アプリをダウンロード。(ここではMacを選択した例で説明します)
ダウンロードしたアプリを起動します。
ユーザー名とパスワードを入力。パスワードは次のメールに記載のパスワードを参照のこと
MillenVPNにようこそというメールを開きます。
ユーザー名とパスワードが記載されているので、先ほどのアプリのログイン画面で入力してください。
MillenVPNアプリ起動されます。接続先を選択します。
任意の接続先を選択しましょう。
警告が出たら許可を選択してください。
接続先選択後、接続ボタンをクリックします。以上でVPNの接続は完了です。
MillenVPN接続状態。切断をクリックするとVPN接続を切断できます。
そのほかの具体的なおすすめのVPN製品の比較や特徴については「【おすすめVPN3選】海外&国内VPNサービス徹底比較」をご参照ください。
まとめ
まとめです。今回は、PNの概要、メリット・デメリット、利用シーンについて詳しく解説しました。
VPNを利用すると、インターネット上の第三者から自分の通信を盗み見られたり、改ざんされたりするのを防ぐことができます。リモートワークやテレワークの普及につれてVPNの利用が個人レベルでも増えてきました。
個人ユースだと、セキュリティ強化の他にも、海外旅行・出張の際にVPNを利用することで海外規制のある日本のWebサービスを利用できるようになったりするので、海外にいる方にとっても非常に便利です。
具体的なおすすめのVPN製品の比較や特徴については「【おすすめVPN3選】海外&国内VPNサービス徹底比較」をご参照ください。
今回は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。