VPN Gateは、筑波大学における学術的な研究を目的として運営されている無料VPNです。
世界中のボランティアによって提供されている5,000代以上のVPNサーバーに接続でき、完全無料で利用できる点が最大の特徴です。
ログを保持しているため匿名性や仕事などでの機密情報を扱うユーザーには向きませんが、ジオブロックの回避やローカルネットワーク内でのセキュリティ確保といった一般的な利用シーンには役立ちます。
今回は無料VPN「VPN Gate」の評判や実際に使用した感想、デメリットを詳しく解説します。
※本記事は2024年11月時点で確認・更新した情報です。
VPN Gateの評判と特徴
VPN Gateの特徴と料金プラン
項目 | 内容 |
---|---|
サービス名 | VPN Gate |
月額換算料金 | 無料 |
サーバーリージョン | 日本・アメリカ・韓国・香港・シンガポール・タイ・ベトナム・オーストラリア・ロシア、他 |
サーバー台数 | 5,400台以上 |
同時接続 | 無制限 |
VPN方式 | SoftEther VPN / L2TP/IPsec / OpenVPN / MS SSTP |
OS・アプリ | Windows / Mac / iOS / Android |
ログ監視ポリシー対応 | ログ記録ポリシー |
キルスイッチ機能 | × |
サポート | フォーラム(日本語対応) |
運営会社 | 筑波大学 |
VPN Gateは、筑波大学における学術的な研究を目的として運営されている無料VPNサービスです。
ユーザー登録なしで誰でも完全無料で世界5,000台以上のVPNサーバーに接続できるのが特徴です。
WindowsやMac、iOSやAndroidなどさまざまなOSに対応しており、Windowsには簡単にVPNに接続できるソフトウェアも提供されています。
VPN Gateと他社VPNの比較
VPN Gateの他社と比べて良い点は、そもそも商用目的で提供されているVPNサービスではないため、完全無料で利用できることが挙げられます。
一方で、不正利用や犯罪行為を防ぐためにログ記録ポリシー(接続ログ:3ヶ月、パケットログ:少なくとも2週間)を設けているVPNであるため、匿名性を重視したいVPNユーザーには不向きと言えるでしょう。
公式サイト | ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
企業情報 | アズポケット株式会社(日本) | nordvpn s.a.(パナマ) | Surfshark B.V.(オランダ) | Kape Technologies(イギリス) | 株式会社MAJ Tech(日本) | 株式会社インターリンク | Kape Technologies(イギリス) | Kape Technologies(イギリス) | Proton AG(スイス) | Windscribe Limited | McAfee | 筑波大学 |
サーバーリージョン | 約60カ国 | 111カ国 | 100カ国 | 105カ国 | 25カ国 | 10カ国 | 91カ国 | 100カ国 | 約110カ国 | 約70ヶ国 | 約50ヶ国 | 非公開 |
サーバー台数 | 1300台以上 | 6400台以上 | 3200台以上 | 3000台以上 | 約50台 | 記載なし | 記載なし | 11,500台以上 | 8,300台以上 | 不明 | 約8,000台 | 5,400台以上 |
月額料金(2年契約) | 396円 | 627円〜 | 317円 | 4.99ドル | 878円 | ー | -- | 320円 | 4.49ユーロ | -- | -- | 無料 |
月額料金(1年契約) | 594円 | 803円 | 471円 | 6.25ドル | 938円 | ー | 363円 | 1,000円 | 4.99ユーロ) | 5.75ドル | 3.33ドル | 無料 |
月額料金(1ヶ月契約) | 1,738円 | 2,277円〜 | 2,462円〜 | 12.95ドル | 1097円 | 1,100円 | 1,304円 | 1,790円 | 9.99ユーロ | 9ドル | 9.99ドル | 無料 |
同時接続台数 | 10台 | 10台 | 無制限 | 最大8台 |
最大50台※
1サーバーに同時接続できるデバイスは1〜3台など条件あり |
3台 | 無制限 | 7台 | 10台 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | 記載なし | 記載なし | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ノーログポリシー | ログ記録ポリシー |
キルスイッチ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
サポート時間 | 平日10:00〜18:00 | 24時間365日 | 24時間365日 | 24時間365日 | 平日10:00〜18:00 | 記載なし | 24時間365日 | 24時間365日 | 9:00~24:00(中央ヨーロッパ時間) | 24時間365日 | 24時間365日 | -- |
サポート手段 | メール(日本語) | メール(日本語対応可)、ライブチャット(英語) | メール(英語)、ライブチャット(英語) | メール(日本語対応可)、ライブチャット(日本語対応可) | メール(日本語) | メール(日本語) | メール(英語)、ライブチャット(英語) | メール(英語)、ライブチャット(英語) | メール(英語)、ライブチャット(英語) | ボットチャット(日本語可)、サポートチケット(英語) | メール(英語) | なし(ユーザーフォーラムあり) |
返金保証・お試し | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) | 返金保証(30日間) | 無料体験(2ヶ月) | 返金保証(30日間) |
返金保証(45日間)※
1ヵ月プランは14日間 |
返金保証(30日間) | 返金保証(3日間) | なし | -- |
(※)2024年11月時点の税込み価格。(※)次回更新以降は通常価格。為替レートやキャンペーンなどにより価格は上下します。
無料VPN同士での比較
他のVPN(無料プラン)と比較すると下記の通り。VPN Gateの大きなメリットは、通信制限がなく、サーバー(国)を指定できる点です。
VPN Gate | Proton VPN | Windscribe | TunnelBear | |
---|---|---|---|---|
通信容量制限 | なし | なし | 10GB/月 | 2GB/月 |
サーバー・国指定 | ◯ | ×(自動選択) | △(日本を含まない10ヶ国のみ) | ◯ |
VPN Gateの評判・口コミ
VPN Gateの良い評判・口コミとしては、「完全無料で使える」「日本から海外のNetflix(海外から日本のNetflix)が見られた」といった声が多く見られました。
VPN Gateは、VPNの不正利用を防止するため、ユーザーログを保持する(接続ログ:3ヶ月、パケットログ:少なくとも2週間)取り組みを行なっていることもあり、ユーザーの利用用途としては動画配信サービスや海外サイトへのアクセス目的に利用されることが多いといった印象です。
- 完全無料で使える
- 日本から海外のNetflix(海外から日本のNetflix)が見られた
一方、良くない評判・口コミとしては「通信速度が遅い」「接続が安定しない」といった声がありました。
VPN Gateで接続できるVPNサーバーはボランティアによって提供されているため、サーバーの速度や安定性はボランティアの環境に依存してしまいます。
しかし、VPN Gateでは同じ国でも複数のサーバーが利用できるため、公式サイトに公開されている回線品質を参考にしながら、他のサーバーに切り替えることで通信速度や安定性が改善される可能性があります。
- 通信速度が遅い
- 接続が安定しない
VPN Gateはこんな人におすすめ
VPN Gateは以下のような方におすすめです。
- 完全無料で使えるVPNを探している方
- 実験的な目的で無料でVPNを試してみたい方方
一方、VPN Gateでは、接続ログが一定期間(接続ログ:3ヶ月、パケットログ:2週間)保持されるため、検閲の厳しい国でVPN Gateを利用して検閲を回避することにはリスクが伴います。
そのため、仕事などで機密情報・個人情報を取り扱う場合に、VPN Gateを利用するのはあまりおすすめしません。
こういった環境では、厳格なノーログポリシーを明言しており、独立した監査機関による調査・検証が行われているProton VPNやNord VPNなどの有料VPNを検討すると良いでしょう。
VPN Gateを使用して感じたデメリット・注意点
VPN Gateを実際に使用して感じたデメリットは以下の通り。完全無料で利用できる一方や、不便な点もあります。
- VPN接続時の通信スピードが不安定(遅い)
- 専用ソフト・アプリがない
- 通信ログが保存される
- キルスイッチが使えない
VPN接続時の通信スピードが不安定
1つ目は、VPN接続時の通信スピードが不安定(遅い)という点です。
実際に通常時とVPN接続時でインターネットスピードを測定してみたところ、VPN接続時の通信スピードがかなり遅くなる結果となりました。
◾️現地のモバイル回線を使用してジョージアから日本のサーバーにL2TP/IPsecでVPN接続した際のスピードテスト結果
VPN Gateでは、複数のVPNサーバーに接続できるため、サーバーによっては快適に通信できる場合もあります。
しかし、ボランティアが提供しているサーバーであるため通信品質にはムラがあり有料VPNほどの通信速度は期待できないかもしれません。
専用ソフト・アプリがなく設定が面倒
2つ目は、専用ソフト・アプリがなく設定が面倒という点です。
多くの有料VPNでは、端末やOSごとに専用ソフト・アプリが用意されており、アプリ上でサーバー選択やプロトコルの切り替え、VPN接続ができるようになっています。
一方、VPN Gateでは専用ソフトがなく、接続プロトコルごとに対応した外部のクライアント(あるいはOSで提供されているネイティブクライアント)を使ってVPNに接続する必要があります。
参考:VPNクライアントとは?必要性をわかりやすく解説 | NordVPN
公式サイトには図付きで具体的な設定方法が解説されているため、それほど難しくはありませんが、初心者にはややハードルが高いかもしれません。
通信ログが保存される
3つ目は、通信ログが保存されるという点です。
VPN Gateは、VPNを利用した不正利用や犯罪行為を防ぐために、ログを保持すると公言しています。
運営元は日本の筑波大学であり、その信頼性は高いと言えますが、VPNサーバー自体はボランティアによって提供されているため、一部のサーバーでは取得されたログが悪用される可能性がないとは言えません。
そのため、仕事などで扱う機密情報など万が一にも漏れては困るような情報の送受信は行わない方が良いでしょう。
キルスイッチが使えない
4つ目は、キルスイッチが使えないという点です。
キルスイッチは、VPN接続が何らかの理由で中断してしまった際に、インターネット接続そのものを遮断してくれる機能です。
これにより、VPNがオフになったことに気付かず個人情報や通信内容が漏洩するリスクが低減されるため、プライバシーを重視するユーザーも安心して利用できます。
VPN Gateにはキルスイッチが搭載されていないため、プライバシー保護を重視する方は、有料VPNの利用を検討する方が良いかもしれません。
VPN Gateを使用して感じたメリット・良い点
VPN Gateを使って感じたメリットは以下の通り。
◾️VPN Gateを実際に使用してみて感じた感想・メリット
- 完全無料かつ登録手続き不要で利用できる
- 同じ国でも複数のサーバーが選択できる
完全無料かつ登録手続き不要で利用できる
1つ目は、完全無料で利用できるという点です。
VPN Gateは日本の筑波大学の学術的な研究目的で運営されているVPNのため、完全無料で全VPNサーバーが利用できます。
ユーザー登録やクレジットカードの登録などの手続きも不要です。
公式サイトのFAQページには、「決して有償サービスになることはない」と記載されているため、サービスが停止されない限り、今後も無料で利用し続けられると考えられます。
VPN Gate は将来的に有償サービスになるのでしょうか?
いいえ、決して有償サービスになることはありません。VPN Gate プロジェクトは国立大学である筑波大学において運用されています。国立大学では一般的な規則として収益目的の活動を行ってはならないことになっています。
容量無制限でVPN接続国やサーバーを指定できる
2つ目は、容量無制限でVPN接続国やサーバーを指定できるという点です。
他の多くの無料版VPNは、「通信容量〇〇GB/1ヶ月以内」や「無料版は接続先(国や拠点)が指定不可」などのなんらかの制約が設けられています。
一方、VPN Gateでは容量無制限で、サーバーリストから確認したDDNS名(あるいはIPアドレス)を入力することで、自由に接続したいサーバーに接続できます。
他のVPN(無料プラン)と比較すると下記の通り。
VPN Gate | Proton VPN | Windscribe | TunnelBear | |
---|---|---|---|---|
通信容量制限 | なし | なし | 10GB/月 | 2GB/月 |
サーバー・国指定 | ◯ | ×(自動選択) | △(日本を含まない10ヶ国のみ) | ◯ |
VPN Gateの使い方
VPN Gateでは、専用アプリがなく、接続プロトコル毎に異なるVPNクライアントを利用してVPNに接続します。
以下では、PC(Mac OS / Windows)で、公式サイトで推奨されているプロトコルを使用してVPNに接続する方法について解説します。
Mac OSでのVPN接続方法(推奨:L2TP/IPsec)
Mac OSでL2TP/IPsecプロトコルを使ってVPNに接続するには、Mac OSに標準で搭載されているL2TP/IPsec VPN クライアントを使用します。
「システム設定」を開きます。
左サイドバーの「VPN」をクリックし、「VPN構成を追加」から「L2TP over IPSec」をクリックします。
任意の表示名(本例では「VPN Gate」と記載)を記載し、サーバアドレスには公式サイトで公開されているVPNサーバーの「DDNS名」、アカウント名・パスワード・共有シークレットには、「VPN」と記載してから「OK」をクリックします。
◾️(参考)DDNS名の確認場所
「VPN Gate」が追加されたら、インフォメーションアイコンをクリックします。
「オプション」の「すべてのトラフィックをVPN接続経由で送信」にチェックし、「OK」をクリックします。
最後にVPN Gateをオンに切り替えると、VPNに接続できます。
注意:接続サーバーの選択の際は、必ず対応接続プロトコルを確認しましょう。
本例では、L2TP/IPsecプロトコルを使ってVPNに接続する手順を解説していますが、使用するVPNサーバーがL2TP/IPsecプロトコルに対応しているかどうかをチェックしましょう。
WindowsでのVPN接続方法(推奨:SoftEther VPN(SSL-VPN))
WindowsでVPNに接続するには、公式サイトからVPNクライアントソフトウェアをインストールする必要があります。
以下のページにアクセスします。
https://www.vpngate.net/ja/download.aspx
「SoftEther VPN Client + VPN Gate Client Plug-inのダウンロード」をクリックします。
zipファイルがダウンロードされるので、ダブルクリックして開きます。
zipファイルの中身を展開するために、「Extract all」をクリックします。
展開先はどこでも良いですが、ここではzipファイルと同じDownloadsフォルダ内で展開します。
zipファイルから展開されたフォルダを開きます。
「vpngate-client-xxxxx」で始まるファイルをダブルクリックします。
VPNクライアントのセットアップウィザードが表示されるので、「Next」をクリックします。
「Do you want to allow this app to make changes to your device」と表示されたら、「Yes」をクリックします。
インストールするソフトウェアの選択画面では「SoftEther VPN Client」が選択されていることを確認し、「Next」をクリックします。
エンドユーザーライセンス同意書の内容を確認しチェックボックスにチェックを入れてから「Next」をクリックします。
重要事項が書かれた画面が表示されるので、内容を確認し「Next」をクリックします。
ソフトのインストール先の選択画面では、デフォルトのまま「Next」をクリックします。
「Next」をクリックします。
ソフトのインストールが完了したら「Start the SoftEther VPN Client Manager」にチェックを入れて「Finish」をクリックします。
ダウンロードされたVPNクライアントが開くので、「VPN Gate Public VPN Relay Servers」をクリックします。
初回は「VPN Gateの学術研究に参加しませんか?」といった画面が表示されますが、VPNに接続したいだけの場合はチェックを入れずに「OK」をクリックします。
VPN Gateで接続できるサーバーリストが表示されるので、接続したいサーバーを選択し「Connect to the VPN Server」をクリックします。
VPN接続前の警告画面が表示されるので内容を確認し、問題がなければ「Agree」をクリックします。
「Use TCP Protocol」を選択して、「OK」をクリックします。
以上でVPNサーバーに接続ができました。
VPN接続を切断したい場合は「VPN Gate Connection」の上で右クリックし、「Disconnect」をクリックします。
まとめ
今回は、日本の筑波大学において学術的な研究目的として運営されている無料VPN「VPN Gate」のメリット・デメリット、使い方を解説しました。
VPN Gateでは通信ログが保存されるため、プライバシー重視のユーザー向きのVPNとは言えませんが、動画配信サービスのジオブロック回避や公共Wi-Fi利用時のセキュリティ確保といったライトな用途にはおすすめです。
しかし、VPN接続時の通信速度が遅く、暗号化がどの程度適切に実施されているのかについては不明な点も多い(公式サイトに記載なし)ため、セキュリティ・プライバシーを重視する方は有料VPNを検討した方が良いでしょう。
今回は以上になります。最後までご覧頂き、ありがとうございました。
他社含めたVPN比較について
おすすめVPNサービスを比較検討したい方を「【VPNおすすめ3選】海外&国内の有料VPNサービス徹底比較」をあわせてご参照ください。